こんにちは!
今日も、ロスでコツコツと、音作りに励んでる、Takeshiです。
簡単ですが、ミキシングの話についてです。
バークリー音楽大学では、どうミキシングを教えてるのか
先日こんなツイートをしました。
補足的に、もうちょっと詳しく説明したいと思います。
ミキシングっていうと、いろいろ難しいイメージがあるかもしれません。
難しく、実際に、答えがない、のは事実です。
でも、始めるに当たって、ポイントはあります。
ミキシングって、簡単に分けると、4つのことをするんです。
そして、バークリー音楽院で学ぶ、その学び方の順番を説明したいと思います。
まず始めに、ミキシングって何をするのか。それは、バランスを整えることです。
ミキシング=バランス
DTMを始めた時は、トラック数の数が少ないと思いますが、慣れていくと、どんどん増えていきます。
実際、僕がリリースした、Summer Loveという曲のトラック数は、80くらいでした。
https://www.malibusoundvibes.com/?p=37
最初のデモは4トラックくらいでしたが。。。どんどん増えちゃうんですよ。ふえるワカメちゃんみたいに。。。
完全にすべりました。笑
さて、ミキシング=バランスという考え方を前提に、4つのプロセスを見て行きましょう。
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Level レベル・ボリューム
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Frequency 周波数
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Stereo Field (Left, Center, Right) ステレオフィールド
- Depth 奥行き
ミキシングの作業は、この4つに分類されます。
何かしっくりこない時は、このリストの中で、できることを探すのが、基本になります。
じゃあ、どうやってスタートすればいいのか。
僕がバークリーで学んだ順番が、以下の通りです。
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ボリューム
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パン
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EQ
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コンプ
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リバーブ
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ディレイ
1. ボリューム 2. パン
まずトラックのボリュームを使って、バランスを取ります。
そして、パンを使い、各トラックの、配置を決めます。
この作業で、かなり形になる、ってとこまで持っていくのが、ポイントです。
ボリュームについては、かなり細かく、トラックの波形を見ます。
波形を編集したり、ボリュームのオートメーションをかけて、出来るだけ、音量が、曲を通して、スムーズになるように、処理します。
ちなみに、バークリーでは、2週間くらい、このヴォリュームとパンだけで、ミックスする、という課題がでます。
レベル・ボリュームについて、バークリーの授業で、こんなことがありました。
ベースのトラックの2つを聴き比べたんです。同じトラックで、違うミキシングの処理の仕方をしている、というものでした。
どっちのトラックがいいか、クラスが、半々くらいに分かれました。
先生が、ニヤニヤしながら、どうミックスしたか、教えてくれました。
『AとBのトラックで、違うのは一つ。Bの方が1dB大きい。それだけだ。』
この1dBの差が、クラスを二分化する、違いだったんです。
ミキシングとなると、いろいろな、プラグインを挿入して、大胆に音を変えていくイメージを、持っている人が多いんですけど、1dBの差で、意見が割れるくらいの差が生まれるんですよね。
最初は、こんなボリュームだけで、なんかミキシングしてる感がない、と感じると思います。
でも、まずは、ボリュームからです。ボリュームとパンしか使えなかったら、どうするか、というのは練習になると思います。
1dBのボリュームの差は、印象を変えるほど、大きい場合がある
3. EQ
EQは、イコライザーの略で、周波数をイジって、音を整えるものです。
いらない低音をカットしたり、ミッドレンジをブーストしたり、耳障りなレゾナンスを大胆なQで取り除いたり、また、高音をブーストして”air=空気感”を演出したりします。
細かい説明は、今後、また機会を作ってやりたいと思っていますが、EQ処理のポイントをいくつか紹介します。
1. EQはカットをしてからの、ブースト
最初は、カットからのブーストを基本にするのが、ミスを防ぐ方法だと思います。
例えば、低音はキックとベースだけを残して、残りはざっくりカットするのが基本です。もちろん、全てのトラック!ではないですが。
例えば、ギターの低音がベースと割とかぶってしまったり、ピアノ、ヴォーカルの低音が強いトラックなどに、効果的です。
これだけで、トラックがかなりスッキリする、ということに繋がると思います。
そして、ミックスに色をつけるために、各楽器の持ち味を引き出す気持ちで、ブーストします。最初は3dBくらいのブーストをリミットにすると、いいと思います。
2. それぞれの楽器が、最も輝く周波数を見極め、スペースを作る
一番使われるのが、キックとベースの関係ですね。
例えば、キックの80Hzをブーストして、その分ベースの80Hzをカット。そうやって、お互い、邪魔をしない、自分のスペースを見つけることができます。
もちろん、これは、いつも使えるトリックではないのですが、引き出しの中に、テクニックとして入っていると、いつか役に立つと思います。
バークリーで学んだ、周波数別のいい点、悪い点
楽器別のレンジや、注目すべき周波数のグラフ
EQの基礎知識については、以前ツイートしたので、併せて載せておきます。
4. コンプ
コンプレッサーは、トラックの強弱のダイナミックをコントロールするエフェクトで、Dynamic Processorと呼ばれる種類の一つです。
ヴォリューム→パン→EQ→コンプという順番で学んでいくと、スムーズにいくと思いますし、バークリーでもこの順番でした。
Dynamic Processors
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Compressors and Limiters
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Gates and Downward Expanders
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Upward Expanders
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De-essers
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Duckers
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Multiband Compressors
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Transient Re-Shapers
これもツイッターからなのですが、コンプの基礎について、ツイートがあるので、参考にしてください。
コンプのセッティングのスタート地点
レシオ2:1~3:1
アタック 20ms
リリース 150ms~250ms
スレッシュホールドで、ゲインリダクションが3~6dBくらいになるように調節
5リバーブ
残響を付加するエフェクトです。リバーブの種類には、大きく分けて、2つあります。
1. Convolution Reverb (コンボリューションリバーブ)
実在する、アコースティックスペースをモデルとしたエフェクトで、よりナチュラルな響きを得ることができます。まさに、そのスペースにいるかの様な錯覚を覚えるくらいです。
これは、実際にそのスペースで、リバーブをレコーディングしたものから、インパルスレスポンスというデータを採取して、それを他の録音に適用するものです。
Altiverbが、最も有名なコンボリューションリバーブだと思います。
2. Algorithmic Reverb (アルゴリズミックリバーブ)
こちらは、実際のレコーディングではなく、アルゴリズムを用いた設計で、かなりフレキシブルに設定が可能です。デジタルリバーブとも呼ばれます。
Lexicon 224、EMT 250が王道ではないでしょうか。
この他には、アナログのSpring Reverb、Plate Reverbなどがあり、リバーブとは言っても、色々な種類があるんだ、という感じで覚えてると、いいと思います。
ホール、ルーム、チャンバーなどもあり、リバーブの種類は、かなり豊富です。
王道として、ギターはSpring reverb、ヴォーカルはPlateなどと言われます。バークリーもそんなスタートでした。
でも、残響系エフェクトは、本当に、ケースバイケースなので、是非、DAWに入っているものをどんどん試して、ミックスしてみるのがオススメです。
パラメーターなどに関しては、AUXトラックの設定の仕方なども含めて、今後詳しく解説したいと思いますが、基本のカテゴリーがこちらです。
Size – Room Sizeを設定して、どの空間にいるのかを調節します
Reverb Decay Time – 残響が徐々に消えて無くなるまでの時間
Pre-Delay – 音が鳴ってから、最初のリバーブ音までの時間
Early Reflection – 一番最初に聞こえる残響反射音の音量
Mix – WetとDryシグナルのバランス
6. ディレイ
ディレイはTime-Based Effectの一種で、反響音をシュミレートする空間系エフェクターです。
バークリーでもらったディレイのカテゴリーリストを作ったので、英語ですが、ここから解説したいと思います。
この表を見ていただければ、Delay Timeでエフェクトの種類が変わることが、分かっていただけるのではないでしょうか。
まず、ディレイとモジュレーションエフェクトの違いについて。
ディレイ
長いディレイタイムで、音を反響させることで、その反響音の繰り返しによって生まれるエフェクト
モジュレーション
ディレイタイムが短いことでできる、揺れ系のエフェクト
エコー
最も代表的なディレイ。山で、おーい!って叫ぶと、ぉーぃ、って返ってくるやつです。ディレイタイムが長いので、より大きなスペースにいる錯覚に陥ります。
ちなみに、サッカースタジアムくらいの大きさをエコーで表現すると、600msくらいです。ヴォーカルに使うと、でっかいハコで歌ってる感じになります。
スラップバック
エコーを短めに設定したのが、このスラップバックです。小~中くらいの、何もない部屋にいるかの様な、感覚を得ることができます。75ms-125msくらいのセッティングで、フィードバックは超ショートに。
ダブリング
このディレイの使い方は、ヴォーカルや、楽器がまるで、2トラックあるかの様なエフェクトが欲しい時に使います。ヴォーカルがメインの1トラックしかなく、コーラスでもっとパンチが必要な時や、ギターのダブルが欲しい時に、使えるテクニックです。
フランジャー
ギタリストの僕は、ヴァンヘイレンを想像しちゃうエフェクトです。笑 コムフィルタ(comb filter)という、フィルタリングをかけ、それがLFOのディレイタイムの移動と重なり、低音から高音をスイープするかの様に聞こえるエフェクトです。音のアクセントとして、使えると思います。
コーラス
名前の通り、一つの音が、あたかもアンサンブルの様に聞こえるエフェクトです。フランジャーと一緒で、ディレイだけではなく、LFOのプロセスが入ることで、ピッチを変えます。
さて、かなりざっくりと、ここまでミキシングについて、見てきました。
ミキシングはバランスを整える作業だ、という基本的な考え方。
そして、そのプロセスと、どの順番で学んでいけばいいのか、を非常に簡単ですが、解説しました。
すごいスピードで駆け抜けてきたので、説明不足な点が各所あったと思います。
今後、ゆっくり、できれば、実際に音と、プラグインを使って、一つずつ解説できたら、と思ってます。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
Happy Mixing!
Takeshi